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柳生九兵衛の回転寿司チェーンの提訴と「週刊女性」の記事について、及び代替ネタについての見解

2005.5.14.

(2006.4.14 一部加筆修正)

テレビ、新聞等で報道され、ご存じの方も多いかと思いますが、昨年(2005年)、

回転寿司店「無添くら寿司」を経営する「くらコーポレーション」が、

『「回転寿司」の〃ネタの秘密〃をバラす!』(週刊女性・H17 3/1号表紙より)

との特集記事を掲載した「週刊女性」発行元の「主婦と生活社」を

大阪地裁に提訴するという出来事がありました。

これは、同誌(H17 3/1号)に、

「一皿100円均一? 本物ならば…ありえません」という

見出しをつけて掲載された特集記事について、

「すべての100円回転寿司店が代替ネタを使用しているという印象を与え、

会社の信用を傷つけられた」として損害賠償などを請求していたものです。

この訴訟について、本年4月11日に、大阪地裁・森宏司裁判長は、

「記事は、くら寿司を特定しているものではない」として、

請求を棄却する判決をくだしました。

私が、監修者としてこの特集記事の一部に携わっていたため、

この件について、各媒体での報道を見た多くの方から、

回転寿司研究家として活動する私、柳生九兵衛に対して、

ご質問やご心配の声など、たくさんのお問い合わせ、ご連絡をいただきました。

ご心配くださった皆様、大変にありがとうございました。

この場を借りて心より御礼申し上げます。

いただいたご質問の一部にここでお答えさせていただくとともに、

この場をお借りして、柳生九兵衛の見解を申し上げさせていただきます。

まず、始めに申し上げておきたいのですが、

子供の頃から回転寿司が大好きであった私は、

随一の回転寿司ファンだと自負しております。

現在では、回転寿司研究家として活動している、私、柳生九兵衛は、

僭越ながら、回転寿司業界の応援団長のつもりで

常に回転寿司のさらなる発展、繁栄を願ってまいりました。

また、たくさんの方に回転寿司を楽しんでいただけるよう、

少しでもお役に立ちたいとの思いで活動してまいりました。

最近では、回転寿司について著わした私の著書を

「参考文献」とした類書が続々と発行されておりますが、

それらの類書が発行されるより以前の、2003年4月には、

「1人でも多くの方に回転寿司を好きになっていただきたい、楽しんでいただきたい」

回転寿司に対するマイナスイメージを少しでも取り除き、正しく理解してもらいたい」

などの思いを込めて、誰よりも早く、先駆を切って

『達人直伝 回転寿司のさ・すし・せ・そ』(エクスナレッジ刊)

という著書も執筆しております。

以前より、拙著の中や同誌の特集記事の中でも

申し上げている通りではございますが、

今回、ご質問の多かった代替ネタについてや、

店内でのネタ名表示等についての私自身の私見を申し上げます。

●代替ネタは、〃ニセモノ〃ではない!

安さを店の個性とするタイプの回転寿司の中には、高額なネタの代わりに

食感や味が似た別種の魚介類を代替ネタとして使うところもあります。

しかし、この代替ネタを〃ニセモノ〃呼ばわりしてしまうことは、

代替ネタ自体にとっても心外なはずです。

例えば「あわび」の代替ネタとして知られる、「ロコ貝」。

この貝は「チリアワビ」とか「アワビもどき」などの別名で呼ばれることもあります。

でも、この呼び方自体が、ロコ貝を〃あわびのニセモノ〃としてしか見ていない証拠。

しかし、実際にはロコ貝は、あわびとはまったく別種の貝です。

そこで、この貝をお店が「ロコ貝」と正しく表示して提供し、

お客さんも「ロコ貝」と承知して食べる分には、何の問題もないハズなのです。

にもかかわらず、これが〃ニセあわび〃的な呼ばれ方をしてしまうのは、

ロコ貝を「あわび」という表示で提供する一部のお店の存在があるからです。

これは、ロコ貝自体も、また、正しい表示で良心的に営業を続けるお店も、

何より、お客さんにとっても、みんなが迷惑です!!

●代替ネタという表現について

そもそも〃代替ネタ〃という言葉自体が、あくまで何かの〃代わり〃という扱い。

私自身も本当は好きではないのですが、便宜上、この言葉を使わないと、

世間や、新聞、雑誌などで「ニセモノ」という言われ方をしてしまうのです。

そのため私は、以前から、さまざまな媒体で「ニセモノ」という言い方が

使われるたびに〃代替ネタ〃と言い換えてきております。

前述のように、例えば「ロコ貝」であるならば、

あわびの〃代わり〃の貝として食べるのではなく、

ロコ貝という貝自体を食べるという味わい方、考え方をすれば、

代替ネタという表現自体もしなくてすむのですが・・・。

●代替ネタの存在については?

代替ネタの発見、また、それらの使用があったからこそ、

以前は敷居の高い高級品であった『寿司』が、

安くて気軽に食べられる身近な存在になった一因であるということ、

また、その大きな功績は、否定できない事実でしょう。

消費者の側から考えれば、そのことは、むしろ歓迎すべきことかもしれません。

回転寿司業界の立場から見ても、

代替ネタは、回転寿司の発展、繁栄などに寄与した

その大きな功労者であると私は考えています。

回転寿司店で代替ネタを使用することは?

安全性に問題がないのであれば、私は、まったく問題ないと考えます。

ただし、〃安全〃であることが最も重要な大前提です!

もし、安全性に問題があるのであれば、どんなに安くても、

また、どんなにうまくてもそれは〃悪〃であり、問題であります。

●代替ネタを提供するのは、お客さんをだましていることになるのでは?

代替ネタは、元々お客さんを欺く目的で導入されたのではなく、

あくまでも、高価で手の届かない高級ネタの代わりに、

味や形の似た魚介類を〃代替ネタ〃として使ったものであると考えます。

これは、「安さ」を実現するための知恵、工夫であり、企業努力であると思います。

前述の通り、既存のネタに似た安くておいしい食材を見つけたのなら、

それを人が食して安全なものであることを確認したうえで、

私は大いに取り入れていただきたいと考えております。

ただし、お店が表示を偽って代替ネタを提供することについては、

私は、一貫して「問題である!」と以前から言い続けています。

●代替ネタは〃悪〃なのか?

代替ネタ自体が悪なのではなく、提供する側が表示を偽ることが〃悪〃なのです。

改めてロコ貝の例でいえば、「ロコ貝」を使って握った寿司を、

「あわび」の寿司として提供することがいけないと言っているのです。

「ロコ貝」の寿司を、正しい表示で「ロコ貝」として提供する場合、

お客さんにとっては、ネタの選択肢が増えるわけで、まったく問題ありません。

お店はお客さんに正しい情報を提供する。

お客さんはそれを納得した上で自分でそれを選択して食べる。

ということであれば、これのどこに問題があるというのでしょうか?

※回転寿司の各店は、ネタ名を偽らず、堂々と本当の名前を表示すべきです。

また、安全性の保証できるもののみを提供するべきなのは当然です。

もちろん、これらを当然のこととして、すでに実施しているお店も多数あります。

しかし、一部には、いまだに代替ネタであるにも関わらず、

別種の高級ネタの名前で表示しているお店が見受けられる現状であるのは残念です。

《今回の一連の報道について、また、本件への見解》

私自身は前述の通り、以前から回転寿司が大好きで、

微力ながらも回転寿司業界発展のため尽力してきたつもりでおります。

そのため、善悪うんぬんではなく、

回転寿司業界が舞台となっての一連の出来事には、

正直、大変困惑しており、胸を痛めております。

最後に、訴訟の対象となった特集記事についての背景を述べておきます。

【今回の特集記事の監修の依頼を受けるにあたって】

  • 回転寿司に対する偏見、誤解を取り除き、読者の理解を深めるための内容にしたい。
  • 回転寿司の店はどこも同じなのではなく、各店それぞれに個性があります。その個性の内容はさまざまであり、そのどこか一部だけを見て、いい店、悪い店などと一概に言うことはできません。
  • 私は代替ネタ自体にまったく問題はないと考えています。
  • ただし、代替ネタを使いながら、虚偽の表示をすることは問題だと考えています。
  • 特定の店や回転寿司業界全体を追及したり、攻撃する内容にはしないこと。などの私自身の考えや思いを伝え、事前にそれを了解していただきました。

【その内容、方法】

  • 虚偽の表示をすることについて、これは良くないと、誌面上で問題提起をする。
  • この特集については、柳生九兵衛自身が文章を執筆するのではなく、別途に立てられたライターさんから柳生九兵衛が取材を受けるという方法を取る。
  • できあがった原稿は、「柳生九兵衛に発行前に確認させる。」と事前に、編集者さんから聞かされていました。

【できあがった誌面について】

  • 原稿チェックは、ライターさんが執筆した本文部分のみの生原稿をFAXにて柳生九兵衛が確認し、自らのコメント部分を中心にリライトを行なって返信しました。
  • 特集記事中の最後の見開きの2ページ分、フードジャーナリストの梅谷昇氏の部分、及び、後日の電話取材の記事部分には、柳生九兵衛は一切関わっておりません。
  • タイトルや見出し、巻頭言、また、一覧表や写真など、本文以外の部分は、編集権に関わる部分なので、柳生九兵衛は一切関知しておりません。

※なお、柳生九兵衛は、該当記事掲載の雑誌が実際に発売された現物を見るまでは、完成した形での誌面、表紙、目次などは事前に視認する機会はなく、現物を視認しておりません。

《新聞、雑誌、テレビ等、各メディアのみなさまへ》

新聞、雑誌、テレビを始め、さまざまなメディアの方から

本件記事内容、判決内容に関しての取材依頼、

コメント依頼などのお問い合わせをいただいております。

しかしながら、

この特集に私が直接関与したのは全体の一部分であるとはいえ、

この特集記事の監修者として名を連ねた立場であるため、

本件についてコメントすることや取材をお受けすることは、

不必要な誤解を招いてしまう恐れなどもあり、

微妙な状況にある現時点では適切ではないと考えます。

そのため、大変恐縮でございますが、

本件についてのコメントや、本件についての取材をお受けすることは、

ご遠慮させていただきたく存じます。

もちろん、また別の機会がございましたら、

いつでもお声をかけてくださいませ。

その際には、喜んでご協力させていただきます。

微妙な立場にある私の心中をお察しいただき、

何卒ご容赦くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

柳生九兵衛

※なお、この場をお借りして申し上げた私の見解、その他すべてを、

無断で流用、転載、上映、放送等をすることは固くお断りいたします。

必要な場合は、必ずメールにてご連絡下さいますようお願いいたします。

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